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連載「(仮題)かゆいところがございますよね?」~ルーキー戦力外通告~

  • 2018/08/03
  • 連載
美容師生活30年を過ぎ、今まで関わったお客様はもう
数えきれないほどの方々とお会いしました。
それだけたくさんの人と関わると、色んな出来事は
あるものです。

そんな今までの経験の中から、笑える出来事、
笑えない出来事、人間って面白くもあり
難解で不可思議なところを面白おかしく
シリーズで綴ろうと思います。

注※内容は人に対しての侮蔑などでなく、出会い 経験させてもらい成長させて頂いた感謝の
 ブログになります。内容に関するものに、深い意味はなくあくまでも経験談を書くものとします。
個人情報保護の観点から、人の名前などは 仮名とさせていただきます。
軽い気持ちで人の奥ゆかしさ、変さ、愛すべき個性などを楽しんで頂ければと思います。

シリーズ 「回想録:(仮題)痒いところがございますよね?」

~ルーキー戦力外通告~


当時、3帖4畳半2間風呂ナシ共同トイレ、共同洗濯機の
大和荘というアパート家賃1万7千円のゴキブリが満載に
出てくるオンボロアパートに住んでました。



(イメージ)


遅くまで先輩たちとレッスンし帰りに片山さん、宇津木さん(仮名)と
アパートが同じ方向だったので、いつも浪花うどんという
阪急高槻駅前にあったうどん屋さんで晩飯を食い帰るという
ルーティン。

僕はそこでいつも290円の牛丼ばかり食べてました。
吉野家の牛丼とは違い、家で母親が作ったような
甘く煮た牛肉と玉ねぎがかかった牛丼でした。

僕は仕事にも慣れつつあり、サービス業としての習慣が
体に染みつきつつあった。
その染みつきつつあるサービス行としての習慣が
この浪花うどんでもつい出てしまう。


浪花うどんに入ってくる、若者男子かおっさんしか来ない
ベッタベタのお店に、流れるようにお客さんが入ってくるたび
うどん屋のおっちゃんと、おばちゃんが緩い感じで


「はい、、、いらっしゃい。。。。」に吊られつい、





「いらっしゃいませ!!」





と言ってしまう(爆)




片山さんと宇津木さんに笑われたが、ふたりも
「いやいや、俺らもここで言うてもうたわw」
最初はそんなもんや(笑)と笑った。


今まで体の中になかった「いらっしゃいませ」が
体の中に浸透し、外からの「いらっしゃいませ」が
体内の「いらっしゃいませ」に反応し
声帯を通り過ぎ「いらっしゃいませ」が漏れて出る。


宇津木さんは「悪ことちゃうぞ!ええことや!」と
言ってくれた。

僕はこの宇津木さんにかなりの影響を受けている。
僕の今の接客の基礎は今だに宇津木さんの影響によるものだ。

宇津木さんはパンク好きのイケメン兄さんで
僕もかなりお笑いに強い方だったが、
宇津木さんの笑いのレベルはかなりのものだった。
その笑いをお客様にやってしまうのです。


ある日宇津木さんは、

「おい!木村!何か芸出来るか?」と聞かれ

僕「ものまね出来ます」

宇「よっしゃ!ほんなら、俺がお客さんのシャンプーで

お前に振るからそこで1発芸やれ!」


というのだ。おおよそ美容室のスマートでかっこいい
接客ではない。

僕「わ。。。わかりました・・・」ここで僕は
宇津木さんから毎日仕事を振られる流れが出来た。

お客様とカウンセリングが済み、宇津木さんが僕に


宇「桂三枝さん(現 桂文枝)!シャンプーお願いします!!」

僕「いらっしゃ~い!!」とやるとお客様は

「何それwww」と笑ってくれるのです。

別パターンで、宇津木さんは

宇「田村正和さん!シャンプーお願いします!」

僕「女は魔物だ。。。。。こちらへどうぞ。。。」


宇「桂朝丸さん(現 桂ざこば)!シャンプーお願いします!!」

僕「もぉ~えらいこってすわっ!!この男がひどい男で!」

と幼少のころに見てたウィークエンダーという番組の
桂ざこばの真似をして、お客様の緊張を和らげていた。

そんなこんなで、美容の仕事は技術だけじゃなく
場の雰囲気づくりや、こういった型崩れな形で
お客様が笑ってくれたらそれはそれでアリかな?とも思った。

しかし、そんな日が長くは続かなかった。
僕は、足の爪が巻き爪になり外科手術することになった。
美容学校時代にもなっていて2回目。
足の親指の爪を丸ごと剥ぐのである。





拷問でしかない。。。。
これでお店を休むことになった。
当時の松田店長から、

「完治するまでとりあえず休め。治ったら連絡くれ」

手術後僕は実家で静養することになった。
通院し、消毒を続けていたある日
松田店長から電話がかかってきた。


「おいっ!お前いつまで休んでんねん!!」

「えっ?・・・・・治るまでって言われたから」

「歩けんわけちゃうやろ!出てこい!!」と。。。


いやいやいや、治るまで休め言うたやん!!
まだ、消毒にも通ってるし完治してないし!!と 
思ったが、要は消毒に通う程度は治ったのと同じだ
ということ。

そのざっくりした、何となくな言葉は
察しなさいということだったのだ。

【ワンポイント】

発せられた言葉をダイレクトに取らない。
その言葉がダイレクトなものなのか、その言葉の
向こう側の意味なのか?その言葉からの雰囲気を汲め
という、日本語の言葉とは音ではなくその言葉の周囲の
雰囲気や感情などなどが含まれているということだった。


復帰し店長にバチギレされそれが響いたのか
それから3か月後僕はサロンから

戦力外通告


を受けることになった。。。。。。





■戦力外内容■

1 入店3か月以内にワインディング(パーマ巻)
  のテストに合格していないこと。

2 長期にわたり無断欠席したこと

である。

当時のサロンはパーマ巻のテストがあるのだが
ショートスタイルのモデルが必要。
当時はワンレングスのようなロングヘア全盛。
モデルもモデルハントして来ないといけない。

非常に条件が厳しく、先輩たちも悩んでた。
しかし僕はその時点で、あまりやる気が無かった。
むしろ、戦力外通告が嬉しかった。

やっと辞めれる!!!
これでもう1回やりたいこと探してやり直そう!
美容師という仕事を何故選んだのか?

志高く、美容の世界に入ったわけではない。
単なる、やりたいことがなかった。
でもブラブラするのも世間体があるし
とりあえず時間つぶしに美容学校行ったようなもの。

入学金や月謝はいずれ親に返せばいいか
としか考えてなかった。


続く












【大阪市港区弁天町の美容室|「Marvelous Hair Make Factory」】

住所
〒552-0007 大阪市港区弁天町1-6-38オトハウス101/dd>
営業時間
火・木・金・土 AM10:00〜19:00/ 水・日・祝 AM10:00〜18:00
定休日
毎週月曜日・第1、3火曜日
最寄駅
弁天町駅
電話番号
06-6576-7009

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